折り紙の可能性

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 日本文化という印象が強い折り紙ですが、その発祥については諸説ありはっきり分かっていません。意外だったのですが、子どもの頃よく折っていた紙飛行機やだまし舟、占い遊びに用いられるココット[パックンチョ]などはヨーロッパの伝承折り紙だそうです。

 日本で折り紙の起源とされるのは、贈り物や手紙を紙で包む<折り方(おりがた)>という武家の礼法だと考えられています。中国から紙の製法が伝来したのは紀元前2~3世紀頃のようですが、そこから様々な工夫が加えられ、日本では独自の紙づくりが進められました。薄くて丈夫な和紙が発明されたことは、折り紙が日本の伝統文化として根付いた要因のひとつのようです。

 遊戯折り紙(ゆうぎおりがみ)[紙を折っていろいろな形を表現する遊び]が一般的に広まったのは和紙が大量生産され始めた江戸時代でした。寛政9年に刊行された『秘伝千羽鶴折形(ひでんせんばづるおりかた)』 という世界最古の遊戯折り紙の書物には、桑名(現在の三重県桑名市)にある長円寺の住職で、折り鶴の名人だった魯縞庵義道(ろこうあんぎどう)によって考案された49種類の連鶴(れんづる・れんかく)[切れ目を入れた一枚の紙から、複数の鶴がつながるように折られているもの]の折り方が、狂歌[しゃれや風刺がきいた短歌]とともに記されています。

 日本にヨーロッパの伝承折り紙が伝わったのは、世界で初めて幼稚園を設立した19世紀ドイツの教育学者フレーベルの幼児教育に折り紙が取り入れられていたことがきっかけでした。明治9年に東京女子師範学校[現在のお茶の水女子大学]の附属幼稚園がフレーベル流の教育理念を模範として取り入れ、これが広まったことで、折り紙もそれまでの日本の伝承とヨーロッパの伝承が融合されていったようです。

 第二次世界大戦後、日本の折り紙はアートとして世界に広がっていきます。創作折り紙の第一人者、吉澤章(よしざわあきら)は動物や虫たちをモデルとした芸術性の高い作品を数多く生み出し、国内外へ発信。これまでの折り紙を ‟ORIGAMI” として世界中に普及させました。

 遊び道具として、知育教材として、アートとしてなど、様々な魅力をもつ折り紙は現在でも世界で愛され、多くの国で愛好団体が存在します。

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